壱萬クラブ-待合室
[エッセイ] [恐怖の環七ストリート]02/12/09
トップページ
入会案内・会員資格
掲示板入り口
メンバーリスト
エッセイ
リンク

恐怖の環七ストリート

qqppの住みかは環七沿い。道幅は広く車の往来は多い方だ。
通りの向こうに渡ろうにも安全帯があって横断歩道じゃなきゃとても渡り切れない。
そんな環七沿いの都営地下鉄一之江駅からひたすらひたすら北上し、20分歩くと家に辿りつく。
その間、気の利いた店でもあればいいけど全くと言っていいほど見事にない。あるのはラーメン屋さんと中古車販売のお店だけ。ただし、にゃがにゃが亭というラーメン屋さんは有名らしく食事時にはいつも外まで行列ができていることも珍しくない。
そんなことだから歩くことが益々苦痛になるので普段は駅まで自転車で通勤している。

時刻は夜7時頃、いつものように自転車で帰途に着こうとしていた。
突然、環七の反対側やや後方からから声が聞こえる。
振り向くと角刈りのオヤジがママチャリをこぎながら、「おーい!」と。
反対側だし気にも留めずまた正面に向き返って自転車をこぐ。

すると再び、「おぉ〜い!」
振り向いて見た。さっきより声はでかい。
まさか、、自分が声かけられてるのか?そんなことないよな。見たことないオヤジだし。反対側だし気にも留めずまた正面に向き返って自転車をこぐ。

「ぐおおぉ〜いいいぃ!」
声がかすれる程でかい。
こりゃただ事じゃないな。。
しばし、足を止めてながめてみる。
さっきよりママチャリの速度は加速がついている。
何かを追いかけていることだけは間違いないな。

ふと、オヤジの前方に目を振ると、オバサンが後ろを振り向きながらママチャリ激走してる。もちろん前のかごにはスーパーのビニール袋があってネギは袋から飛び出してるいるのは言うまでもない。
オバサン振り向く。
オヤジ走る。
オバサンさらに走る。
オヤジは眉間にしわが寄っているのは遠くこちらからでもわかる程の形相になってきた。

この状況はたぶんこんな落ちだろうなあ・・・・、
1.オバサンがネギを落として親切なオヤジはなんとかそれを知らせようとしている。
2.オバサンがふらふらオヤジにぶつかって信号無視して逃げまくってる。
3.スーパのおやじが万引きオバサンを捕まえる瞬間。
と勝手な想像してるとウキウキしてきてつい立ち止まって成り行きを見届けたくなった。

二人の距離はやがて縮まり、後ろを振り向きながら激走していたオバサンもとうとう年貢の納め時となった。神様、暴力だけはいけません。祈った。
で、ちょっと期待もした。

オヤジはさっとオバサンをパスしたではないか!
そして、その目は環七の反対側、そうボクの方を向いていたのだ。

これはものすごくまずい。(-"-;)
笑いのネタが思いもかけず自分に降りかかってきた時、刃物と血が頭に浮かんだ。突然、自転車のスピードを上げると刺激してしまうぞ。ゆっくりゆっくり風景と一体化して街に溶け込むのだ。


「ぐおおぉ〜いいいぃ!」「ぐおおぉ〜いいいぃ!」
野獣のような叫び声はますます加速度を上げて近づいて来る。
これは絶対、薬やってるよ、間違いない。
薬>刃物>血
横断歩道が青信号なら間違いなくこちら側に飛び込んでくる勢いだ。
何かの間違いだよな。最近悪いことしたとしたら東風荘でビリ確定上がりの奴に悪態ついただけだよ。恨まれるとしたらそのくらいだ。ああ、HPに地図アップするんじゃなかった。深く後悔しても始まらないよな。どうしよ、どうしよ。

恐る恐る振り返ってみた。
オヤジ激走してるよ〜!
もう前だけ見てつっぱしるしかない。
逃げ切ることを決断して正面を見据えた。
その時、前方を歩いていた別のオヤジが振り向いた。
その視線は激走オヤジに注がれていた。

激走オヤジがぴたっと止まった。挟みうちだ。
そしてここまで彼が激走してきた道の逆側を大きなアクションで指差して言った。
「にゃが!、にゃが〜〜〜!」

ボクの前方に突っ立ているオヤジはにっこり笑って両手で大きな円を作って「おっけ〜!」と言うと来た道を彼らは戻りはじめた。
彼らはラーメン屋「にゃがにゃが亭」を探していたのだった。

戻る

壱萬クラブ Since 2002